「シネクドキズムII<コンティニュイティー>」

プロジェクトのテーマである「呼吸と心と知覚の連鎖」を意識して作曲された鋭く繊細な音楽と、400枚以上に渡る写真を組合せて作った映像を通して、能面の表情が移り変わる妖艶さを表現。あいちトリエンナーレ2016、フランスはストラスブールのアーティストグループHanatsu-miroirによる「今井智景ポートレートコンサート『MASQUE』」での公演を経て、その独特な世界観にコンテポラリーダンスが織り重なることによってより立体的な表現にチャレンジ。70分に渡る非現実的な空間へ観客を誘います。 

「シネクドキズム」プロジェクト

舞台芸術の魅力を新しい角度から表現するべく立ち上げた作曲家 今井智景の実験プロジェクト。音楽や写真、映像、舞台美術など多分野芸術に渡って制作されるクロスメディアアート作品を通してアートと音楽が人々の意識にリンクしていくことにチャレンジしています。

テーマは「呼吸」。ただ生命を維持するための運動ではなく、精神的にも身体的にも状態をコントロールする上でとても大切な機能を持つ「呼吸」のリズムは心理状態に影響を及ぼします。逆に、心理状態が呼吸を整えたり乱したりもします。また五感を通して伝えられた情報によってもそのリズムは影響を受けます。このような連鎖を踏まえて、人の想像力を刺激する作品を目指します。

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プロジェクトの第1作目『シネクドキズムⅠ<インパルス>』は、「空手の形を見て受ける衝撃によって心を乱し、音楽がその呼吸を整える」という「刺激」をテーマにし、第2作目となるこの『シネクドキズムⅡ<コンティニュイティー>』は、新たに「写真」を加え、日本の伝統芸能である「能」の上質な美と美意識が生み出す緊張感をヒントに「心と知覚と身体の関係性」に迫ります。 

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修辞学の中に「提喩(シネクドキ)」という表現方法があります。全体や類を表す言葉で特定のものを表現したり(花見《花⇒桜》)、またはその逆(小町⇒美人)を表現したりする修辞方法です。プロジェクトにおいて「何をどう表現するか」を考える方法として参考にしています。

歴史や風土、文化や環境などが背景に含まれる表現を使った言葉は、それぞれの言語において日常会話の中でごく自然に溶け込んでいますが、それらの言葉には美しさがあり、会話が粋なものになっているのではないででしょうか。それは、無意識の内に想像力が刺激されて脳をより活発に動かしているからなのかもしれません。まさにこのプロジェクトが目指す作品像です。